BtoB EC(企業間取引)とは?市場規模やBtoCとの違い、業界別の導入事例まで徹底解説

電話やFAXでの受発注業務に追われ、ミスや手間に悩んでいる企業様や、これからBtoB取引のデジタル化(EC化)を検討されている担当者様へ。

「BtoB EC」という言葉をよく耳にするようになりましたが、単なるネットショップ開設とは異なり、企業間取引特有の複雑な商習慣に対応する必要があります。 急速に市場が拡大している今、正しい知識を持たずに導入を進めると、かえって業務が混乱してしまう恐れもあります。

本記事では、BtoB ECの基礎知識から、最新の市場動向、導入によって得られる具体的なメリットまでを徹底解説します。

【この記事でわかること】

  • BtoB EC(企業間取引)の基本概念と、BtoC ECや受発注システムとの決定的な違い
  • 経済産業省の調査に基づく、最新の市場規模(約465兆円)とEC化率の動向
  • 「自社サイト型」「マーケットプレイス型」など、3つの代表的なビジネスモデル
  • 取引先ごとの価格設定や承認フローなど、導入時に必要な主要機能とメリット

BtoB EC(企業間取引)とは?基礎知識と市場動向

BtoB ECとは、企業間(Business to Business)の取引を電子商取引(Electronic Commerce)システム上で行う仕組みのことです。
例えば、従来FAXや電話で行っていた部品の発注や卸売業務を、Webサイトや専用システムを通じてオンラインで完結させることを指します。

BtoB ECの定義

BtoB ECとは、「Business to Business Electronic Commerce」の略称で、日本語では「企業間電子商取引」を指します。

従来、企業と企業の取引(受発注)は、電話、FAX、対面営業、郵送などが主流でした。これらをインターネット上の専用Webサイトやシステムに置き換え、デジタルデータとしてやり取りする仕組みがBtoB ECです。

単なる「ネット通販」のような販売チャネルの一つではなく、受注・決済・請求・出荷といった一連の業務プロセスを改革する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の手段として定義されます。また、専用回線を利用する従来の「EDI(電子データ交換)」も広義のECに含まれますが、近年はより安価で柔軟なWebベースのECシステムへの移行が進んでいます。

拡大する市場規模【最新データ】

【経済産業省データ】BtoB EC市場規模とEC化率の推移グラフ(2019~2023年):2023年の市場規模は465.2兆円、EC化率は40.0%へ拡大し、右肩上がりで成長中

経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」(令和5年度)によると、2023年の市場規模は約465兆円に達し、全取引の約4割(EC化率40.0%)がすでにデジタル化されています。

BtoB-EC市場規模は年々拡大を続けています。BtoC(消費者向け)市場と比較しても、その取引規模は圧倒的に大きく、多くの産業でEC化率(全商取引に占める電子商取引の割合)が上昇しています。

この背景には、以下の3つの要因があります。

・労働力不足:人口減少により、電話やFAX対応を行う事務スタッフの確保が困難になっている。

・働き方の変化:リモートワークの普及により、場所を選ばずに発注・受注できる環境が求められている。

・法制度・物流の変化:インボイス制度への対応や、物流2024年問題によるリードタイムの厳格化に対応する必要がある。

【図解】BtoB(企業間取引)とBtoCの決定的な5つの違い

図解:BtoB(企業間取引)とBtoCの取引フローの違い比較。BtoCは個人の即決・クレカ払いだが、BtoBは組織的な承認・稟議が必要で、請求書払い(掛け払い)や大口箱買いが特徴

BtoB ECの定義とは、企業同士がインターネットを通じて商品やサービスの売買を行うことです。 一般的なネット通販(BtoC)との大きな違いは、取引先ごとに異なる価格設定(掛け率)や決済条件(掛け払い)、あるいは組織的な承認フローなど、複雑な商習慣に対応している点にあります。

「一般的なネットショップ作成サービス(BtoC向け)を使って、企業間取引はできないのか?」という質問をよく頂きますが、結論から言うと推奨できません。 企業間取引には、消費者取引とは異なる独自の商習慣があるからです。主な5つの違いを見てみましょう

1.意思決定・BtoB:組織での承認・稟議が必要(論理性重視)

     ・BtoC:個人の感情・即決(衝動買いもあり)

2.価格決定・BtoB:取引先ごとに異なる掛け率(ランク別価格・個別見積)


     ・BtoC:誰でも一律価格(ワンプライス)

3.決済方法・BtoB:掛け払い(請求書払い)、銀行振込、手形など

     ・BtoC:クレジットカード、コンビニ払い、代引きなど

4.取引関係・BtoB:継続的・長期的(リピート)。在庫の安定供給が重要

     ・BtoC:一過性の取引が多い。売り切れ御免も許容される

5.注文単位・BtoB:ケース単位、ロット単位。大口注文が基本

     ・BtoC:1個単位。小口注文が基本

特に重要なのが「価格設定」と「決済」です。取引実績に応じて「A社は定価の80%、B社は70%」といった出し分けや、月末締めの請求書発行に対応していないシステムでは、実務に耐えられません。

企業間取引をEC化するメリット・デメリット

導入のメリットとは、システム化によって得られる定量的な成果のことです。
具体的には、24時間365日の注文受付が可能になることで機会損失を防いだり、電話対応の工数が削減されることで社員がコア業務(営業・企画)に集中できるようになったりします。

売り手(自社)のメリット

BtoB EC導入による受発注業務の効率化ビフォーアフター図:FAX・電話対応に追われるアナログ業務から、受注データ自動連携による入力不要・生産性向上(本来の営業・企画業務へ集中)への変化

・業務コストの大幅削減:FAX注文書の読み取り、基幹システムへの手入力、電話での問い合わせ対応(「在庫ありますか?」「金額いくら?」)が激減します。

・販路拡大と売上アップ:営業担当者が訪問できない遠隔地の顧客や、小口の顧客に対しても、Web上で24時間365日受注が可能になります。

・人的ミスの防止:「言った言わない」のトラブルや、FAXの読み間違いによる誤出荷を防げます。

買い手(取引先)のメリット

・利便性の向上:営業時間を気にせず、スマホやPCからいつでも発注や在庫確認ができます。

・発注作業の効率化:「いつもの商品」を履歴からワンクリックで再注文でき、誤発注も防げます。

導入のデメリットと課題(解決策)

導入にはいくつかのハードルもありますが、適切な対策で乗り越えることが可能です。

課題1:既存の取引先が使ってくれない

解決策:いきなり完全移行せず、FAXとWebを並行運用する期間を設けます。「Web注文なら1%OFF」「Web限定在庫」などのインセンティブを用意するのも有効です。

課題2:社内(営業担当)の反発

解決策:「ECに顧客を取られる」という誤解を解き、ECは事務作業を代行するツールであり、営業はより高付加価値な提案に時間を使えるようになることを周知します。

【業種別】BtoB EC導入の成功パターン

企業間取引の内容は業種によって大きく異なります。ここでは代表的な成功事例を紹介します。

1. 食品・飲食卸の事例

課題:飲食店からの注文は深夜や早朝に入ることが多く、FAXの文字が潰れて読めないことによる配送ミスが多発。

効果:スマホ対応のBtoB ECを導入。飲食店側は厨房からその場でスマホ発注できるようになり、卸側は受注データが自動連携されるため、入力業務とミスがゼロになりました。

2. メーカー・製造業の事例

課題:部品の点数が膨大で、電話での型番確認や「この部品の在庫はあるか」という問い合わせ対応に営業事務が忙殺されていた。

効果:在庫情報をWeb上でリアルタイム公開。顧客が自分で検索・確認できるようになったため、問い合わせ件数が大幅に減少し、本来の業務に集中できるようになりました。

BtoB ECサイトの種類と構築手法の選び方

BtoB ECを成功させるには、自社の目的に合った「型」と「システム」を選ぶことが最重要です。

BtoB ECサイトの種類について

BtoB ECサイトの種類には、大きく分けて「自社サイト型」「マーケットプレイス型」「プライベート型」の3つの形態があります。 例えば、自社ブランドの世界観を重視するなら「自社サイト型」、集客力を優先するならAmazon Businessなどの「マーケットプレイス型」といったように、戦略に合わせて選ぶことが重要です。

ビジネスモデルによる2つの種類

クローズド型(既存顧客向け): IDとパスワードを持つ特定の取引先だけが利用できるサイト。業務効率化やFAXの置き換えが主な目的です。

スモールB/オープン型(新規開拓向け): サイト自体は誰でも閲覧でき、価格は会員登録後に表示される等の形式。Webマーケティングによる新規顧客獲得が主な目的です。

システム構築の4つの手法

BtoB ECシステム構築手法の比較マトリクス図(コスト・期間 vs カスタマイズ性):安価・短期間な「ASP/SaaS」、バランス型の「パッケージ」「クラウドEC」、自由度は高いが高コストな「フルスクラッチ」の4手法

例えば、初期コストを抑えてスピーディーに立ち上げたい場合は「パッケージ型」、独自の業務フローや基幹システム連携に完全対応させたい場合は「フルスクラッチ開発」など、企業の年商規模や、独自の商習慣の複雑さに応じて選択します

・ASP / SaaS型(Bカートなど):初期費用が安く、短期間で導入可能。カスタマイズ性は低いが、標準機能で十分な場合は最適。

・パッケージ型(アラジンEC、ecbeingなど):基本機能を備えつつ、自社業務に合わせたカスタマイズが可能。中規模以上の企業向け。

・クラウドEC(Shopify Plusなど):SaaSの手軽さとカスタマイズ性を両立。最新のシステム環境を常に利用できる。

・フルスクラッチ:ゼロから完全にオリジナルで開発。独自の複雑な要件がある大企業向けだが、コストと期間は最大。

失敗しない導入フローと必須機能

導入までの4ステップ

1. 現状分析・要件定義:現在のアナログな業務フローを書き出し、「何をシステム化するか」を決めます。

2. システム選定:基幹システムとの連携可否や、必須機能が備わっているかを確認します。

3. サイト構築・テスト:商品データや顧客データを登録し、テスト注文を行います。

4. 取引先への案内・移行:操作マニュアルを作成し、説明会などを通じて利用を促します。

BtoB ECに必須の機能チェックリスト

BtoB ECに必要な機能とは、法人取引特有の商習慣をデジタル上で再現するための仕組みのことです。 例えば、取引先ランクに応じて価格を出し分ける「カスタム価格機能」や、発注担当者が社内の決裁を得るための「承認ワークフロー機能」などが標準的に求められます。

システム選定の際は、以下の機能が網羅されているか必ず確認してください。

・取引先別価格設定:顧客ごとに異なる単価を表示できるか。

・掛け払い・与信管理連携:請求書払い(掛売り)に対応しているか。

・見積書発行機能:カートに入れた商品から見積書PDFを自動発行できるか。

・承認フロー機能:発注担当者が注文し、決裁者が承認するフローに対応しているか。

・基幹システム連携:在庫データや受注データを自動で同期できるか。

BtoB EC(企業間取引)に関するよくある質問(FAQ)

Q. 小規模な企業でも導入できますか?

A. はい、可能です。ASP(SaaS)型のシステムであれば、月額数万円〜という低コストでスタートでき、サーバーの管理なども不要です。

Q. 既存の取引先がFAXをやめてくれない場合はどうすればいいですか?

A. 無理に「今日からFAX禁止」にするのは避けましょう。まずは注文頻度の高い顧客に絞って案内したり、「Web注文なら送料優遇」などのメリットを提示して、徐々に移行率を高めていくのが成功のコツです。

Q. 導入までの期間はどれくらいですか?

A. システムの種類によりますが、ASP型で標準機能をそのまま使うなら最短1ヶ月程度。カスタマイズが必要なパッケージ型などの場合は、要件定義を含めて3〜6ヶ月程度が一般的です。

まとめ:BtoB ECは「守り」と「攻め」を両立する経営戦略

BtoB ECは、単に「受発注をデジタルにする」だけではありません。「業務コストの削減(守り)」と「販路拡大・売上アップ(攻め)」を同時に実現できる、強力な経営戦略です。

日本国内における企業間取引のデジタル化は、今後さらに加速します。「まだうちはFAXで大丈夫」と思っている間に、競合他社はデジタル化で効率と顧客満足度を高めているかもしれません。 まずは自社の課題を整理し、自社に合ったシステム選びから始めてみてはいかがでしょうか。

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