人手不足が叫ばれる中で、業務の効率化やデジタル化を実施していく企業が増えています。従来の営業方法やFAX受注といったバックオフィス業務が属人化によるミスの発生が多く、その解決方法として、BtoB ECサイトの導入が検討されることが増えてきました。
本記事では、2025年最新版として、基幹システムの連携を得意としているBtoB ECサイトの種類、選定時に抑えるべきポイントをわかりやすく解説します。すでに業務課題を抱えている企業はもちろん、これからEC導入を検討している方にも役立つ内容となっています。
基幹システムとBtoB ECサイトの連携とは?
BtoB ECサイトの価値は、「オンラインで注文ができる」こと以上に、企業内で運用している基幹システムとの連携によって発揮されます。受発注、在庫、請求、会計といった業務を担う基幹システムとECサイトを統合することで、人的ミスや二重入力を防ぎ、業務全体の効率化を実現します。

連携の基本構造と仕組み(API連携・バッチ連携)
基幹システムとBtoB ECサイトの連携方法は、大きく分けて2つの方式が存在します。
ひとつはAPI連携です。ECサイトと基幹システムの間でリアルタイムにデータを送受信する形式で、在庫数や受注状況などの情報が即時に反映されるのが特徴です。顧客からの注文が入ると即座に在庫が更新され、社内の販売管理システムにも反映されるため、スピーディかつ正確なオペレーションが可能となります。
もうひとつがバッチ連携です。こちらは定時ごとにデータを一括転送する形式で、夜間や早朝に処理をまとめて行うケースが多く、古い基幹システムを使用している企業でも比較的導入しやすい利点があります。ただし、リアルタイム性には欠けるため、業種や業務要件に応じた選択が求められます。
いずれの方式も、連携においては「どのデータを、どのタイミングで、どの方向に同期するのか」を明確に設計することが、プロジェクトの成否を左右する重要なポイントです。
対応可能な基幹システム(販売管理、在庫管理、会計システムなど)
連携対象となる基幹システムは企業によって異なりますが、以下のような領域が主な対象です。
- 販売管理システム(例:SMILE、販売王など)
顧客管理、受注登録、請求書発行などに関与。ECサイトからの注文データを自動的に取り込むことで、伝票処理を大幅に削減可能。 - 在庫管理システム(例:在庫番、ZAICOなど)
商品の入出庫、引当、棚卸などを管理。BtoB ECサイト上の在庫表示とリアルタイムに連携することで、欠品や過剰在庫を防止。 - 会計システム(例:勘定奉行、弥生会計など)
請求データや入金情報を基幹系とつなぐことで、経理業務の二重入力や照合作業が不要になります。
また、ERPやSFAといった横断的な統合パッケージと連携するケースも増えており、これらの連携を視野に入れたBtoB ECプラットフォームの選定が重要になります。
自動化できる業務領域(受発注、請求処理、在庫更新など)
基幹システム連携 BtoB ECサイトを導入することで、以下のような業務領域で自動化が実現できます。
- 受発注業務の自動化:
顧客からの注文がECサイト上で完了すると、受注データが即座に基幹システムへ連携され、納品書・見積書の作成が不要に。 - 請求処理の簡素化:
受注確定と同時に請求処理が自動でトリガーされ、会計システムにも反映。請求書の作成や送付ミスを防ぎます。 - 在庫情報のリアルタイム更新:
倉庫システムとのAPI連携により、出荷や返品が即時に反映され、ECサイト上でも正確な在庫数を維持可能に。 - 入金消込の自動化:
請求情報と銀行口座の入金データを連携し、突合処理の省力化を実現。
BtoB ECサイトと基幹システム連携を得意とする主要企業
基幹システム連携 BtoB ECサイトを実現するうえで、信頼できるベンダーの選定は成功の鍵を握ります。ここでは、業務システムとの連携に強みを持つ代表的なBtoB EC構築ベンダーをご紹介します。
AladdinEC(アラジンEC)

株式会社アイルが提供するAladdinECは、中堅企業の基幹システムとスムーズに接続できるBtoB ECパッケージとして定評があります。特に同社が開発する販売・在庫・会計の各モジュール(アラジンオフィス)との親和性が高く、ワンストップでの業務自動化を実現できます。既存の基幹システムとの連携だった場合にも、SAP・SMILEシリーズ・商奉行/商蔵奉行・PCA商魂/商管など大手の基幹システム連携実績があります。
ecbeing BtoB

ecbeing BtoBは、大規模BtoCサイトで多数の実績を持つecbeingが提供するBtoB領域に特化した拡張パッケージです。OBC 勘定奉行、SMILE、HITACHIといった大手基幹システムとの連携ノウハウを豊富に有しており、レガシー系システムから最新クラウドERPまで幅広く対応します。オーダーメイド開発にも強く、業界特有のフローや取引ルールへのカスタマイズも柔軟に対応します。
ebisumart(エビスマート)

SaaS型でスピーディに導入できるebisumartは、APIファースト設計のECプラットフォームとして、多種多様な外部システムとの連携性に優れています。販売管理システムや倉庫管理システムとのデータ連携はもちろん、柔軟なヘッドレス構成で基幹システムとの最適なアーキテクチャ設計が可能です。短期間での立ち上げを希望する企業や、将来のスケーラビリティを重視する企業に適しています。
ウキヨ(UKIYO Inc.)

ウキヨは、BtoB ECサイト構築を専門としながら、基幹システム連携の支援体制にも強みを持つ注目企業です。特筆すべきは、基幹システム連携において30年以上の実績を持つパートナー企業との技術提携を実施している点です。これにより、販売管理・在庫・会計などの基幹系との高度なAPI設計やデータ連携もワンストップで支援可能となっており、単なるEC導入に留まらない業務DXの包括的な実現が可能です。
ウキヨでは、業種特化型のUI/UX設計、業務ヒアリングからの要件定義、導入後の運用支援までを一貫してサポートし、「現場にフィットするEC×基幹連携」を実現しています。
BtoB ECサイト選定時に見るべき連携対応のポイント
基幹システム連携 BtoB ECサイトを成功させる鍵は、見た目のデザインや価格だけでなく、「どこまで自社システムにフィットし、安定した運用が可能か」という点にあります。ここでは、システム連携の観点からECサイトを選定する際に必ずチェックすべきポイントを整理します。

柔軟なAPI設計と既存システムとの親和性
現代のシステム連携において、API(Application Programming Interface)は不可欠なインフラです。BtoB ECサイト側が提供するAPIが柔軟かつ標準化されていることは、既存の基幹システムとのシームレスな統合を実現する前提条件です。
また、APIのドキュメントが整備されており、技術者がスムーズに検証・開発できる環境が用意されていることも重要です。APIの提供形式(REST, GraphQL など)や、トークン認証、レート制限といった仕様の確認も忘れてはなりません。
さらに、連携対象の基幹システムがオンプレミスかクラウドかによっても設計の方針が変わります。たとえば、レガシーな販売管理システム(例:AS/400系)を利用している企業では、バッチ処理とのハイブリッド構成が必要になることもあります。したがって、「今あるシステムとの親和性」こそが、BtoB ECサイト選定時に最優先で見るべき視点です。
カスタマイズの柔軟性とベンダー対応力
業種・業態によって業務フローは千差万別であり、テンプレート通りの機能では対応しきれない場面が多くあります。たとえば、製造業では「部品単位の在庫引当」や「工場ごとの出荷ルール」といった細かな要件が存在し、それに合わせたカスタマイズ開発が求められます。
このとき重要になるのが、開発ベンダーの対応力と柔軟性です。
- 独自仕様に対してどれだけ対応可能か
- 要望に対して代替案や技術的アドバイスを提供できるか
- 開発後のテスト・保守運用まで見据えた体制があるか
これらは、単なる“機能比較表”では見えてこない部分です。可能であれば、開発元と直接やり取りできる体制が整っているかを確認しましょう。多層的な代理店経由よりも、開発現場と近い方がカスタマイズ精度は高まります。
セキュリティ・データ整合性の確保
BtoB取引は、しばしば1件あたりの単価が大きく、取引金額も高額になるため、システムの信頼性とセキュリティレベルは極めて重要です。
とくに基幹システムと連携している場合、社内業務の中核データがECサイトを経由して流通することになります。このため、以下のようなセキュリティ対策が講じられているかを確認すべきです。
- 通信のSSL/TLS暗号化
- 二段階認証(2FA)対応
- IP制限やアクセスログの記録機能
- 権限ごとの画面・操作制御
また、業務プロセス全体において**「データの整合性」**が保たれているかも重要です。たとえば、EC上での価格表示と基幹システム上の単価が一致しているか、出荷状況が正確に伝達されているかなど、小さなズレが大きなトラブルの原因になります。
そのためには、単なるデータ連携だけでなく、双方向での確認処理(バリデーション)やトランザクション制御がきちんと設計されているかを検証しましょう。
まとめ | 基幹システムと連携するBtoB ECサイトで、業務と顧客体験を同時に変革
BtoB ECサイトは、単なるオンライン受注ツールではなく、社内の基幹システムと連携することで、業務全体の効率化・正確性・スピードを飛躍的に向上させる中核的な仕組みへと進化しています。
在庫管理、請求処理、受発注業務など、手間のかかるオペレーションを自動化することで、現場の業務負荷を減らし、顧客に対するレスポンスも早められます。また、基幹システムとの連携により、営業、経理、倉庫など複数部署の連携もスムーズになり、部門横断的なDXが実現可能です。